税務上のリース取引の定義

譲渡条件付リース | リース期間の終了時または中途において、無償または名目的価額で賃借人に譲渡されるリース取引は、所有権移転リースに該当します。再リース料が、基本リース期間のリース料の12分の1に満たないような名目的再リース料で、再リースすることが契約書などで明らかにされているものも含まれます。 |
割安購入選択権付リース | 賃借人に対して、リース期間の終了時または中途で、著しく有利な価額で買取る権利が与えられているリース取引は、所有権移転リースに該当します。 ただし、購入選択権行使価額が、定率法による未償却残額(未償却残額がリース資産の取得価額の5%相当額を下回る場合は5%相当額)以上で、公正市場価額を著しく下回るものでない限り、著しく有利な価額とはなりません。 |
専属使用物件または識別が困難な資産のリース |
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リース期間が法定耐用年数に比して相当短いリース | リース期間が法定耐用年数の70%(法定耐用年数が10年以上のものは60%)に相当する年数(端数切り捨て)を下回る場合は、所有権移転リースに該当します。ただし、店舗内装設備のように一定サイクルで改装されるものなど、リース期間終了後に返還(廃棄)が明らかなものは、所有権移転リースに該当しません。 |
税務処理の方法
リース取引(ファイナンス・リース)
売買処理
リース取引は、リース資産の賃貸人(リース会社)から賃借人(お客さま)への引渡しの時に、リース資産の売買があったものとして、各事業年度の所得金額を計算します。賃借人は、原則、リース会計基準に基づいて行った会計処理(リース資産の減価償却、支払リース料の処理)に基づき、税務上の処理を行います。
(資産)リース資産の減価償却 | |
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所有権移転 | 自己所有資産に適用する減価償却方法と同一の方法 |
所有権移転外 |
リース期間定額法
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(損金)支払リース料 |
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支払リース料相当額のうち、支払利息相当額は、リース会計基準による処理にあわせて、利息法または定額法により損金算入。 |
金融処理
セールアンドリースバック取引は、対象資産や取引の事情等から見て実質的に金融取引と認められるときは、金銭の貸付があったものとして、各事業年度の所得金額を計算します。
リース取引(ファイナンス・リース)以外の賃貸借
賃貸借処理
通常の賃貸借として支払リース料を費用処理することができます。
留意点1 所有権移転外リースとなるセールアンドリースバック取引
以下に示す金融目的以外の合理的理由があるものは金融処理の対象となりません。
お客さまが資産を購入することに相当の理由があり、かつ立替金、仮払金等の仮勘定で経理し、お客さまの購入価額でリース会社に譲渡するもの。
- 事例
- お客さまが購入した方が資産の購入事務省力化につながる場合。
輸入品の通関業務などお客さまの専門的な知識が必要である場合。
お客さまが購入した方がリース会社より安価で購入できる場合。
留意点2 リース会計上賃貸借処理した場合の法人税法上の取り扱い
リース会計上の所有権移転外ファイナンス・リース取引について賃貸借処理した場合や、中小企業のお客さまが賃貸借処理した場合においても、法人税法上は売買として取り扱われます。この場合費用処理した支払リース料の金額は法人税法上、減価償却費として損金経理した金額に含まれます。従って、所有権移転外リースにつき、リース期間定額法による償却限度額(各月均等)と損金経理したリース料が一致すれば、会計上、賃貸借処理をした場合でも、申告調整は不要となり、減価償却に関する明細書の添付も不要となります。

留意点3 消費税の扱い
- リース取引(ファイナンス・リース)は、法人税法上、売買取引があったものとして取り扱われるため、消費税についても売買取引として取り扱われます。リース料にかかる消費税は、リース取引開始初年度にリース料総額に対する消費税を一括して仕入税額控除できます。
- 尚、会計上、所有権移転外ファイナンス・リース取引について、賃貸借処理した場合や、中小企業のお客さまが賃貸借処理した場合は、毎月のお支払リース料に対する消費税を仕入税額控除することも認められています。(分割控除可能)
- リース取引(ファイナンス・リース)以外の賃貸借取引及び平成20年4月1日前に契約したリース取引(ファイナンス・リース)は、毎月のお支払いリース料に対する消費税を仕入税額控除(分割控除)できます。